拠点運営委員長挨拶

現象数理学研究拠点運営委員長 西森拓

 2023年4月より、俣野博前委員長の後任として、現象数理学研究拠点運営委員長を務めております。

 本拠点は、2008年度から2012年度末まで続いた明治大学グローバルCOEプログラム「現象数理学の形成と発展」の活動を継承し、さらに発展させることを目的として、2013年6月に明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)の独自事業として発足しました。翌2014年には、文部科学省の共同利用・共同研究拠点に認定され、6年間の事業認定(第一期)最終年の期末評価に、最高のS評価を受け、2025年度までの第二期拠点活動を行っています。また、2023年に実施された第二期中間評価においてもS評価を受けております。

自己組織化

 2023年4月の時点で文部科学省の共同利用・共同研究拠点は全国に約100あり、数学・数理科学の分野では、本拠点を含めて5拠点が認定されています。他の4拠点は、京都大学数理解析研究所、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所、統計数理研究所、大阪市立大学数学研究所が、運営母体となっています。これら5拠点はそれぞれの特色を活かしつつ互いに連携し、我が国における数学・数理科学の発展に貢献すべく活動を続けてきました。

パターン動力学

 本拠点が推し進める現象数理学とは、自然界、生命、知能、人間社会を含む広い範囲の身の周りの現象に対して、数理モデリングの手法を介してその仕組みを理解し、人類の幸福のために役立てる学問です。基礎方程式が確立していない自然・生命・社会現象に関する数理モデルの構築・解析はもとより、言語、知覚、感性に関わる問題への取り組みなど、いわゆる文理の壁を超える新しい数理的枠組みの提案も、現象数理学の重要な使命です。

 本拠点では、その活動の一環として、共同研究や研究集会の企画を毎年全国に募集し、採用された企画の開催に協力するとともに、計算機の全国共同利用サービスを行っています。また、現象数理学に関連するさまざまなテーマで、毎年国際会議ICMMAを開催しています。さらに2020年度より「ライフサイエンス・数理科学融合研究支援プログラム」を立ち上げて、学際的共同研究の企画を募集し、研究を支援しています。

 新しい時代に即したさまざまな企画に今後も取り組み、その成果を社会に発信していきたいと考えております。皆さまのご理解とご協力をいただければ幸いです。

 第三代 運営委員長 西森 拓
 2023年4月 就任