拠点運営委員長挨拶

現象数理学研究拠点運営委員長 俣野博

 2019年11月より、杉原厚吉初代委員長の後任として、現象数理学研究拠点運営委員長を務めております。

 本拠点は、2008年度から2012年度末まで続いた明治大学グローバルCOEプログラム「現象数理学の形成と発展」の活動を継承し、さらに発展させることを目的として、2013年6月に明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)の独自事業として発足しました。翌2014年に、本拠点は文部科学省の共同利用・共同研究拠点に認定され、爾来、我が国における学術活動の発展に貢献すべく拠点活動を続けています。当初予定されていた6年間の事業期間は2019年度で終了しましたが、期末評価で最高のS評価を受け、拠点事業を2025年度まで継続できることになりました。本拠点の活動をこれまで支えてくださった多くの皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。

 2020年4月の時点で文部科学省の共同利用・共同研究拠点は全国に約100あり、数学・数理科学の分野では、本拠点を含めて5拠点が認定されています。他の4拠点は、京都大学数理解析研究所、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所、統計数理研究所、大阪市立大学数学研究所が運営しています。

 「現象数理学」とは、数理モデルの構築・解析を通して自然や社会に現れるさまざまな現象に潜む謎を解き明かし、得られた知見を社会に還元することをめざす分野横断的な学問です。とりわけ、基礎方程式が確立していない現象や、生活に結びついた身近な現象の研究に重点を置いています。また、そうした研究を通して、自然や社会を深く理解する枠組みとしての数理的視点の重要性を広く世間に発信することにも力を注いでいます。現象数理学は、このような問題意識で行われている研究全体を総称するものです。扱うテーマは、生命現象、社会現象、医療、知覚、感性など多岐にわたります。

自己組織化
  折紙研究

 本拠点では、その活動の一環として、共同研究や研究集会の企画を毎年全国に募集し、採用された企画の開催に協力するとともに、計算機の全国共同利用サービスを行っています。また、現象数理学に関連するさまざまなテーマで、毎年国際会議ICMMAを開催しています。2020年度は、新型コロナ感染症の流行のため、活動にさまざまな制約が生じましたが、従来からの事業を止めることなく、オンラインで継続しています。オンライン研究会には、対面の研究会と全く同じ効果を期待することはできませんが、ホームページ上で講演録画をオンデマンド配信するなど、オンラインならではの特徴を生かしたさまざまな新しいサービスを提供できるよう心がけています。さらに新規の事業として「ライフサイエンス・数理科学融合研究支援プログラム」を立ち上げて、学際的共同研究の企画を募集し、研究を支援しています。

 新しい時代に即したさまざまな企画に今後も取り組み、その成果を社会に発信していきたいと考えております。皆さまのご理解とご協力をいただければ幸甚に存じます。

 第二代 運営委員長 俣野 博
 2019年11月 就任