Meiji University Center for Mathematical Modeling and Applications

連続最適化の紹介
▶︎ 要旨

連続量を扱う最適化は「連続最適化」と呼ばれます。大学１・２年生の微積分の講義で学ぶラグランジュの未定乗数法は、連続最適化の手法の一例です。連続最適化の研究では、さまざまなクラスの最適化問題に対して、その数学的構造に着目し、適切なアルゴリズムを提案し、その特性を議論します。この講演では、連続最適化に関する研究成果をいくつか紹介いたします。また、最適化の講義をするようになって、講演者が学生の時と比べると教えることが大きく変化している気がしています。時間が許せばこのことについてもお話ししたいと思います。これにより、最適化の雰囲気をより深く理解していただけるかもしれません。

離合集散とその瀬戸際の数学解析
▶︎ 要旨

自然界の多くの現象は、粒子・波・流れなどの分布を表す関数の色々な方向への微小変化と相互作用についての方程式から解明することができます。ほとんどの場合、解は数式で直接書けませんが、無限の可能性の中から解のパターンを分類したり、特徴的な指標を数学的に引き出すことは可能です。全体像を理解するための鍵となるのは分布が集まるか離れていくかの境目で、またそこにしばしば特徴的な現象が顕れます。本講演ではそれらに関する最近の研究の一端をご紹介します。

多面体と数学
▶︎ 要旨

３次元の多面体の頂点・辺・面の個数について、(頂点の個数)－(辺の個数)＋(面の個数)＝２が成り立ち、この等式は「オイラーの多面体定理」としてよく知られています。３次元以外の場合でも同様に、ある次元の面の個数の交代和が、多面体の次元が奇数ならば２、偶数ならば０になることがわかります。この講演では、一般の次元の多面体に関して成り立つ等式・不等式が、多面体とは異なる数学と結びつく様子を紹介したいと思います。

銀河考古学
▶︎ 要旨

人類の住む銀河系はどのような歴史を経て形成されたのでしょうか？ この根源的な問いに答える上で、近年目覚ましい成長を遂げているのが「銀河考古学」と呼ばれる天文学の研究分野です。銀河考古学では、恒星の軌道形状や化学組成のような、時間の経過とともに大きく変化しない情報を「化石情報」とみなし、銀河系の現在の観測情報から歴史を推定することを試みています。本講演では、この銀河考古学の最前線について紹介します。

「非」整数階微分積分にまつわるよもやま話
▶︎ 要旨

高校時代に学ぶ微分や積分は、量の局所的な変化や大域的な集積を調べる道具として自然科学や社会科学で広く使用されています。では、与えられた関数を「1/2回」微分することはできるのでしょうか？ 実は、この1/2階微分の概念自体は、1695年にライプニッツがロピタルに宛てた手紙の中にすでに登場しています。このような数学者の自由な発想（時として妄想）により生み出される抽象的概念が、後年になって自然現象や社会現象を説明するのに有用であるということがしばしばあります。本講演では、非整数階の微分積分について、異常拡散現象やニューラルネットワークなどいくつかの最近の応用例を含めて紹介します。